離婚を切り出さない夫の、本当の狙い

夫が自分から離婚を切り出さないのには、理由があります。先に言い出した側が悪者にされやすいという空気を利用できるからです。妻から「離婚したい」と言わせておけば、「お前が望んだことだ」「不倫の原因もお前にある」という言い分が立てやすくなります。さらに、時間が経つほど妻の生活基盤は不安定になりやすく、交渉で譲歩を引き出しやすくなります。「離婚したいなら考えてやってもいい」という言葉は、優しさではありません。主導権を渡さないための時間稼ぎです。

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離婚を切り出した側が不利になるわけではない

法律上、有責性は不貞行為という事実そのものによって決まります。どちらが先に離婚を言い出したかは、有責性の判断に関係しません。妻が離婚を切り出したとしても、不貞行為をしたのが夫である以上、夫が有責配偶者であることは変わりません。「言わせておいて、あとから責める」という段取りは、法律上の結論を変える力を持ちません。

相手の言葉を待つ必要はない

「考えてやってもいい」という言葉は、離婚の決定権が夫にあるという前提を作ります。しかし、離婚は協議が整わなければ調停、それでも解決しなければ裁判という手続きに進みます。有責配偶者ではない側からの離婚請求、慰謝料請求、財産分与請求は、相手の同意や許可を待たずに、法的な手続きとして進めることができます。相手が動かないことは、妻が動けない理由にはなりません。

自分の判断材料にするために

「お前のせいだ」「離婚は考えていない」という言葉は、事実の指摘ではなく、時間と主導権を握るための計算です。この計算に対して、言い争いで応じる必要はありません。法律の趣旨にのっとって、裏で粛々と準備を進めることが、唯一の正解です。証拠を確認します。財産の状況を整理します。請求できる権利を、期限が来る前に固定します。相手が動かないなら、動かないなりに、自分の手続きだけを先に進めておきます。それが、相手の計算に巻き込まれないまま、離婚交渉の主導権を自分の側に置く方法です。

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