実務23年、家族法務450件超。
この数字の中で、同じ相談を数えきれないほど受けてきました。
配偶者の不倫が発覚した直後、多くの人がまず考えるのは慰謝料と離婚するかどうかです。
しかし、実際に相談の場で一番大事になるのは、その先の生活がどうなるかという部分です。
今日は、不倫発覚後に整理すべきことを、順番通りに書きます。
なぜ慰謝料より先に生活の土台なのか
不倫が発覚すると、感情が大きく動きます。
怒り、悲しみ、裏切られた気持ち、これらは当然の反応です。
ただ、感情が動いている状態のまま行動すると、後で取り返しがつかない判断をしてしまうことがあります。
実務の現場で見てきたのは、感情のまま離婚を切り出した人が、後になって財産や住まいの確認をしていなかったことに気づくケースです。
慰謝料を検討する場合も、証拠の有無や時期など、事実関係の確認が必要です。生活の土台に関わる資料も、確認できるうちにそろえておくことが大切です。
不倫発覚後に確認しておきたい5つの項目
不倫が発覚した時点で、次の5つを確認しておく必要があります。
・預貯金の口座と残高
・不動産の名義と住宅ローンの状況
・生命保険と学資保険の契約内容
・退職金の見込みと勤続年数
・年金の加入状況
この5つは、離婚するかどうかを決める前の段階で確認しておく項目です。離婚を決めてから確認しようとすると、相手が先に資産を動かしてしまっている場合があります。
住宅ローンが名義人だけの問題ではない理由
夫名義の住宅ローンだから自分には関係ないと考える人が多くいます。
しかし、離婚後にその家に住み続けるのか、売却するのか、この判断はローンの残債と名義の状況によって大きく変わります。
連帯保証人や連帯債務者になっている場合は、離婚後も返済義務が残ることがあります。これは登記簿とローンの契約内容を確認しなければ分かりません。感覚で判断せず、書類を見て確認することが必要です。
年金分割を後回しにしてはいけない理由
年金分割は、婚姻期間中の厚生年金の記録を分ける制度です。
年金分割の請求期限は、2026年4月1日以後に離婚等をした場合、原則として離婚等をした日の翌日から5年です。2026年4月1日前に離婚等をした場合は、従来どおり原則2年です。離婚した時期によって期限が異なるため、早めに確認してください。
離婚前でも、年金事務所等へ「年金分割のための情報通知書」を請求し、対象期間などを確認できます。按分割合の合意や請求手続は、離婚時期と制度区分を確認して進めます。
子どもがいる場合に整理すべきこと
子どもがいる場合、養育費と親子交流の取り決めが必要になります。
養育費は金額だけでなく、支払い方法と期間、進学時の増額について取り決めておくと、後のトラブルを防げます。親子交流についても、頻度や方法を事前に言葉にしておくことで、感情的な対立を減らせます。
子どもにとっては、両親の対立よりも、生活が急に変わることのほうが負担になります。大人の判断を急ぐより、子どもの生活を軸に整理したほうが、結果として早く進みます。
離婚を決める前でも、事実と資料は確認できます
離婚するかどうかを今すぐ決める必要はありません。
大事なのは、離婚しても、しなくても、どちらの道も選べる状態を保っておくことです。財産の全体像を把握していない状態では、選ぶことすらできません。
先に情報を整理した人は、判断材料をそろえた状態で条件を検討できます。情報がないまま話し合いに応じると、判断材料が整わないまま条件を決めることになります。
実務23年、450件超で見えてきたこと
不倫が発覚した直後は、感情と生活上の問題が重なりやすい時期です。
その段階でも、住まい、収入、支出、財産、子どもの生活に関する事実は確認できます。
資産と生活の全体像が分かると、離婚する場合としない場合の違いを具体的に比較できます。結論を急ぐためではなく、判断材料をそろえるための確認です。
まとめ 今日からできる3つのこと
・預貯金と不動産の資料を手元に集めておく
・年金分割のための情報通知書を早めに確認しておく
・離婚を決める前に、生活費と住まいの見通しを立てておく
この3つは、離婚するかどうかにかかわらず、今日から始められることです。
離婚するかどうかを決める前でも、事実と資料を確認することはできます。
不倫発覚後から離婚を決めるまでの確認事項は、不倫発覚後から離婚を決めるまでの記事からテーマ別に確認できます。
