不倫相手を制裁したいという心情と、法律のずれ

不倫離婚の行政書士 木下です。配偶者の不倫が発覚した時、多くの人が最初に抱くのは「許せない」という感情です。裏切られた苦しみや怒りから、「相手には相応の制裁を受けてほしい」と思うことは、ごく自然な反応です。

しかし、法律は「制裁」を目的としていません。民法が認めているのは、不法行為によって受けた損害を回復するための損害賠償です。不貞慰謝料も、相手を罰するためのお金ではなく、精神的苦痛に対する賠償として位置付けられています。

そのため、「ひどいことをされたのだから、相手の生活が成り立たないほど払わせたい」という考え方が、そのまま認められるわけではありません。慰謝料は、婚姻期間、不貞の態様や期間、夫婦関係への影響など、さまざまな事情を踏まえて判断されます。

一方で、被害を受けた人が「制裁してほしい」と感じることまで否定されるわけではありません。法律の目的と、人の感情は一致しないからです。裏切られた人が怒りを抱くことは自然ですが、その怒りと法律上認められる請求の範囲は別の問題です。

この前提を知らずに相談すると、「もっと制裁できると思っていた」「思っていた話と違う」というすれ違いが起こることがあります。それは、専門家が間違っているからではありません。法律が実現しようとしていることと、自分が求めていることが一致していないためです。

不倫の問題では、感情を否定する必要はありません。しかし、人生を立て直すためには、感情と法律を分けて考えることが大切です。その違いを知ることが、不利にならないための第一歩になります。

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