離婚では、一つの問題だけを解決すれば終わるわけではありません。生活費、財産、子ども、住まいなど、複数の制度が同時に関係します。ここでは、離婚でよく問題となる制度を一覧で整理します。
婚姻費用(生活費)
根拠条文
民法760条
内容
離婚が成立するまで、夫婦は収入などに応じて生活費を分担します。
ポイント
・別居中でも請求できる場合がある
・収入の多い側が支払うことが多い
・有責配偶者からの請求には制限される場合がある
財産分与
根拠条文
民法768条
内容
婚姻中に夫婦が協力して築いた財産を分けます。
ポイント
・名義だけでは決まらない
・預貯金、不動産、保険、退職金などが対象
・離婚後5年以内に家庭裁判所へ請求できる(令和8年4月1日施行)
慰謝料
根拠条文
民法709条
民法710条
内容
不貞行為などにより精神的苦痛を受けた場合に請求できます。
ポイント
・不貞行為の証拠が重要
・婚姻関係が破綻していた場合は認められないことがある
・時効にも注意が必要
養育費
根拠条文
民法766条
内容
子どもを監護・養育するための費用です。
ポイント
・親の義務である
・離婚後も支払義務は続く
・家庭裁判所の算定表が参考になる
親権・監護
根拠条文
民法819条
民法766条
内容
子どもを誰が養育するかを決めます。
ポイント
・令和8年4月1日から共同親権制度が開始
・共同親権でも監護者を定めることがある
・子どもの利益が最優先
親子交流
根拠条文
民法766条
内容
離れて暮らす親と子どもが交流する制度です。
ポイント
・回数や方法を具体的に決める
・子どもの利益を最優先に判断される
年金分割
根拠法令
厚生年金保険法78条の2以下
内容
婚姻期間中の厚生年金記録を分割する制度です。
ポイント
・自動では分割されない
・請求期限がある
住宅ローン
根拠
法律上の独立した制度ではありません。
内容
契約内容によって処理方法が異なります。
ポイント
・名義
・所有権
・連帯債務
・連帯保証
これらを分けて確認する必要があります。
氏と戸籍
根拠条文
民法767条
戸籍法
内容
離婚すると婚姻前の氏へ戻るのが原則です。
ポイント
・婚氏続称の届出も可能
・子どもの氏は自動では変わらない
不受理申出
根拠法令
戸籍法27条の2
内容
勝手に離婚届などを提出されることを防ぐ制度です。
ポイント
・本人が市区町村へ提出
・離婚届だけでなく婚姻届なども対象
まとめ
離婚では、一つの制度だけで解決することはほとんどありません。婚姻費用、財産分与、慰謝料、養育費、親権、親子交流、年金分割、住宅ローンなどが相互に関係します。
離婚を進める前に制度全体を把握することで、自分の立場を確認し、必要な手続を見落としにくくなります。
