配偶者の不倫。不倫された自分が、何を守れるのか。

配偶者の不倫が発覚した直後は、感情が優先し、何を守るべきかが整理できなくなりがちです。しかし、法律上、守るべきものは大きく分けて4つあります。婚姻中の地位、慰謝料請求権、財産、子との関係です。

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婚姻中の地位

婚姻届を提出している限り、離婚が成立するまでは配偶者としての地位が続きます。同居・協力・扶助の義務(民法752条)や、婚姻費用の分担を求める権利(民法760条)が認められています。感情的に「今すぐ離婚したい」と思っても、この地位を保持したまま進めるか、解消して進めるかは、経済的な立場に直結する選択です。急いで離婚に応じる前に、この地位が持つ意味を理解しておく必要があります。

慰謝料請求権

不貞行為があった場合、配偶者および不貞相手の双方に対して、慰謝料を請求できます。不貞相手は共同不法行為責任を負うことがあります(民法709条、710条、719条)。ただし、不貞行為そのものに対する慰謝料と、離婚に至ったこと自体に対する慰謝料は、法律上別のものです。離婚そのものを理由とする慰謝料は、不貞相手が夫婦を離婚させる意図をもって干渉したなどの特段の事情がない限り、原則として請求できません(最高裁平成31年2月19日判決)。

また、不貞行為の時点で婚姻関係が既に破綻していたと認められる場合、不貞相手は責任を負わないという判断枠組みもあります(最高裁平成8年3月26日判決)。慰謝料請求権には時効があるため、不貞の事実と相手を知ってから期間が経過する前に動く必要があります。

財産

離婚時には財産分与を求める権利があります(民法768条)。住宅ローンが残っている場合は、名義や連帯債務・連帯保証の関係を離婚と切り離して整理する必要があります。不動産の名義変更や借り換えには金融機関の承諾が必要であり、離婚協議書や公正証書で返済の分担を決めても、その約束は金融機関には対抗できません。財産を守るためには、感情面の整理より先に、契約関係の現状を確認することが実務上の優先事項になります。

子との関係

子がいる場合、親権・養育費・面会交流の取り決めが必要になります。夫婦に未成熟子がいるという事情は、配偶者や不貞相手に請求する慰謝料額を判断する事情の一つとして考慮されることがあります。一方で、子自身が不貞相手に対して直接慰謝料を請求することは、判例上、原則として認められていません。子の利益は、配偶者本人の慰謝料請求における事情として主張・立証していくことが現実的です。

行政書士の役割

これら4つを守るための出発点は、同居の実態、生活費の分担、住宅ローンの契約内容、子の監護状況といった事実関係を、書類という形に残すことです。当事務所では、この事実関係を「事実証明に関する書類」「権利義務に関する書類」として整理するお手伝いをします。相手方との交渉や慰謝料額の法的主張は業務範囲に含まれませんが、事実関係を整理しておくことが、後の交渉や弁護士への相談の際に、自分の立場を裏付ける材料になります。

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