離婚を進めようとしても、話し合いが成立しないことがあります。
何度説明しても同じ問題が繰り返される。条件の話をしたいのに感情的な対立になってしまう。相手とのやり取りに疲れ、どう進めればよいのか分からなくなる方もいます。
そのような状況で、相手にパーソナリティ障害の傾向があるのではないかと考える方もいます。
しかし、離婚協議で重要なのは、相手にどのような診断名があるかを判断することではありません。見るべきなのは、夫婦間で条件を話し合い、合意を作るという交渉の構造が成立しているかどうかです。
パーソナリティ障害とは何か
パーソナリティ障害とは、物事の捉え方、感情の反応、人との関わり方などに特徴的な偏りがあり、その状態が続くことで本人や周囲の生活に支障が生じる状態をいいます。
以前は「人格障害」と呼ばれることもありましたが、現在は「パーソナリティ障害」という名称が一般的です。代表的な分類として、以下のようなものがあります。
・境界性パーソナリティ障害
・自己愛性パーソナリティ障害
・反社会性パーソナリティ障害
・妄想性パーソナリティ障害
・回避性パーソナリティ障害
などがあります。
ただし、これらは医学的な診断であり、配偶者の言動だけで判断できるものではありません。離婚協議において大切なのは、相手を分類することではありません。
離婚協議で見るべきなのは相手ではなく交渉の成立性
離婚では、離婚することへの合意だけでなく、養育費、財産分与、親子交流、住宅ローンなど、複数の条件を決める必要があります。そのため、相手と条件について話し合い、合意した内容を維持できる状態が必要になります。
しかし、次のような状態が続く場合、当事者間だけの協議では解決が難しくなることがあります。
・話し合いが条件ではなく感情的な対立になる
・相手の主張だけが繰り返される
・事実確認や条件整理が進まない
・合意した内容が後から変わる
・第三者を介しても条件整理が進まない
この場合に見るべきなのは、「相手が何なのか」ではありません。
「この方法で合意形成が可能なのか」という点です。
私的な話し合いから離れる判断
離婚は、必ず夫婦だけの話し合いで終わらせる必要はありません。
協議離婚は、双方が合意できる状態がある場合に有効な方法ですその前提が崩れている場合は、方法を変更する必要があります。
具体的には、
・書面による条件調整へ変更する
・第三者を介して話し合う
・弁護士による代理交渉を検討する
・離婚調停へ進む
といった選択肢があります。
これは協議の失敗ではありません。現在の方法では合意形成が難しいと判断し、解決できる枠組みに変更するということです。
離婚協議で重要なのは診断名ではなく進め方
パーソナリティ障害という言葉だけを見ると、離婚協議が不可能であるように感じるかもしれません。
しかし、問題は診断名そのものではありません。
必要なのは、離婚条件を整理し、確認し、合意できる状態を作れるかを見ることです。相手を判断するのではなく、交渉という枠組みが機能するかを見極めることが、離婚を進めるうえで重要になります。
ただし、生命や身体への危険を感じる状況では、交渉を進めることが優先ではありません。
その場合は、離婚条件の話し合いよりも、まず安全を確保するための行動を取ることが必要です。
