相手に発達障害の特性がある場合、「離婚できないのではないか」「話し合いは成立しないのではないか」と不安に感じる方がいます。この不安の背景には、精神的な問題がある場合の離婚判断と、発達障害の特性が混同されていることがあります。
しかし、協議離婚で重要なのは、相手にどのような特性があるかではありません。大切なのは、離婚することや条件について話し合い、合意できる状態を作れるかどうかです。
発達障害の特性があることだけで離婚できないわけではない
協議離婚は、夫婦双方が離婚することに合意し、必要な条件を決めることで成立します。そのため、相手に発達障害の特性があることだけで、協議離婚ができなくなるわけではありません。
なお、かつて裁判離婚の要件だった「強度の精神病」という離婚原因は、2026年4月の民法改正によって条文から削除されました。現在は、発達障害の特性があることだけで離婚の可否が決まるわけではありません。
実際に問題となるのは、特性の有無ではなく、離婚条件について十分な話し合いができるか、合意した内容を適切に残せるかという点です。
協議離婚で問題になるのは合意形成ができるかどうか
発達障害の特性がある方の中には、話が本題からそれやすい、複数の条件を同時に整理することが難しい、感情的な場面で冷静な判断が難しくなる、といった傾向が見られる場合があります。
また、口頭だけで話し合いを進めると、「言った」「言わない」という認識の違いが生じることもあります。
しかし、これは話し合いが不可能という意味ではありません。論点を分ける、確認事項を書面に残す、第三者を介して調整するなど、進め方を工夫することで合意形成につながる場合があります。
確認すべき4つの項目
協議離婚では、次の点を一つずつ確認していくことが重要です。
・離婚することへの合意
・養育費や財産分与などの条件調整
・離婚後の生活設計
・合意内容を書面に残せるか
話し合いを成立させるための進め方
発達障害の特性がある相手との協議では、一度に多くの論点を扱わないことが重要です。養育費、財産分与、親子交流、住宅ローンなど、項目ごとに分けて一つずつ確認します。
合意した内容は口頭で終わらせず、その都度メモや書面に残します。感情的な対立が起きやすい場合は、同席での話し合いにこだわらず、書面でのやり取りや第三者を介した調整を検討します。
条件が固まった段階で離婚協議書や公正証書として形にすることで、後の認識違いや紛争を防ぐための重要な手段になります。
協議が整わなかった場合は、そこで終わりではない
工夫を重ねても、協議がまとまらないことはあります。
協議が整わないという結果は、単なる失敗ではありません。当事者間の話し合いで解決できる範囲と、解決が難しい部分が明らかになった状態です。その時点で、調停など次の手続きに進む必要があるかを判断できます。
協議で終わらせることだけにこだわらず、状況に応じて次の手段に移ることも、離婚を前に進める一つの方法です。
不安を抱えたまま一人で進めないために
話が通じるのか分からない。 合意しても後から変わるのではないか。
そう感じたまま進めると、条件を十分に決めないまま離婚届を提出してしまうことがあります。
大切なのは、相手の特性を理由に最初から諦めることではありません。必要な条件を分けて考え、合意できる状態を作ることです。
