2026年4月1日に施行された民法改正により、夫婦間の契約に関する大きな変更がありました。
これまで民法第754条には、「夫婦間で結んだ契約は、婚姻中であれば一方が取り消すことができる」とする規定がありました。しかし、この規定は削除されました。
その結果、婚姻中に夫婦が交わした契約についても、一般の契約に適用される民法のルールに基づいて法的効力が判断されるようになりました。
これまでの制度
改正前は、夫婦間で生活費の負担や財産の管理方法などを文書で約束しても、婚姻中であれば一方がその契約を取り消すことができました。
そのため、せっかく覚書や契約書を作成しても、後から一方的に取り消される可能性があり、法的な安定性に課題がありました。
改正によって変わったこと
2026年4月1日からは、この夫婦間契約の取消権が廃止されました。
現在は、婚姻中に作成した覚書や契約書についても、一般の契約に適用される民法のルールに基づいて法的効力が判断されます。一方的に「取り消します」と主張するだけで、契約をなかったことにすることはできません。
もっとも、公序良俗に反する内容や法律の強行規定に反する内容は、一般の契約と同様に無効となる場合があります。
なぜ改正されたのか
この改正の背景には、夫婦を一つの存在ではなく、それぞれが独立した権利を持つ個人として尊重する考え方があります。
また、夫婦間契約の取消権を利用して、財産分与や慰謝料などに関する約束を後から一方的に取り消すといった不当な利用を防ぐ目的もあります。
夫婦間で交わした契約についても、一般の契約と同様の法的安定性を確保することが、今回の改正の目的の一つです。
離婚に関する覚書も有効になるのか
今回の改正により、婚姻中に作成した離婚に関する覚書についても、他の夫婦間契約と同様に、旧民法第754条による一方的な取消しは認められなくなりました。
ただし、それだけで離婚時の条件が確定するわけではありません。
実際に離婚する場合は、その時点で夫婦が改めて離婚条件を協議し、離婚協議書や離婚公正証書を作成することが一般的です。
そのため、婚姻中の覚書は重要な資料となりますが、離婚時に夫婦が改めて別の内容で合意した場合には、その最終的な合意が権利義務を定めることになります。
また、離婚調停では調停調書が、離婚訴訟では裁判所の判決が最終的な権利義務を定めます。婚姻中の覚書は、その過程で、当事者がどのような合意をしていたのかを示す資料として評価されることになります。
まとめ
今回の民法改正により、夫婦間契約を一方的に取り消す制度は廃止されました。
その結果、婚姻中に作成した覚書や契約書は、従来よりも法的な安定性が高まりました。
もっとも、離婚時の権利義務は、その時点の協議、公正証書、調停、裁判など、それぞれの手続によって最終的に確定します。
そのため、婚姻中に作成した覚書は、従来よりも法的な安定性が高まり、離婚協議や調停、訴訟において当事者の合意内容を示す重要な資料として位置付けられるようになりました。
離婚を見据えて覚書を作成する場合は、将来、離婚協議書や離婚公正証書を作成することを見据え、その内容と整合するように作成しておくことが重要です。
