まだ人生の先が長い方にとって、配偶者の不倫は、自分の存在や感情を大きく揺さぶる出来事です。怒りや悲しみが強く表れます。そのため、証拠は相手を責めるためのものとして考えられることが少なくありません。
一方、長年築いてきた家庭や暮らしを守る立場にある方は、感情だけでは終わりません。生活が崩れることへの不安から、自己防衛の意識が強く働きます。不倫の証拠は、慰謝料請求のためだけではなく、事実関係を確認し、これからの人生戦略を考えるための重要な判断材料になります。
人生戦略とは、相手に勝つことではありません。これからの暮らしをどう守るのか。住まいをどうするのか。財産をどう整理するのか。離婚するのか、修復を目指すのか。その方針を決めることです。
その方針によって、取るべき行動は変わります。
1.離婚しない
2.不倫相手へ慰謝料を請求する
3.配偶者へ慰謝料を請求する 財産分与や養育費などを含め、離婚条件全体を整理する
不倫慰謝料と離婚慰謝料は異なります
不倫慰謝料は、不貞行為によって受けた精神的苦痛に対する損害賠償です。不倫相手への請求として語られることが多いものの、法的には配偶者に請求できる場合もあります。
離婚慰謝料は、離婚に至るまでの精神的苦痛に対する損害賠償です。不貞行為が離婚の原因となった場合には、その事情も考慮されます。
両者は法律上異なる請求ですが、同じ不貞行為による損害について二重に賠償を受けることはできません。そのため、不倫相手から慰謝料の支払いを受けた場合は、配偶者への請求との関係で調整されることがあります。
長年築いてきた暮らしを守る立場にある方にとって重要なのは、慰謝料の金額だけではありません。財産分与、住まい、養育費、年金分割などを含め、離婚後の生活全体をどう設計するかです。
証拠は、相手を攻撃するための武器ではありません。これからの人生戦略を立てるための手札です。
問われているのは、不倫にどう勝つかではありません。これからの暮らしをどう守るかです。そのためには、感情だけではなく、方針が必要になります。
